人材不足に悩む地方の医療機関

一昔前までは、若者は大人になったら都会に出るのが一種のステータスのようになっていたが、近年では、地元にこだわる人の割合が増えているように思える。特に最近は大きな災害が多発していることもあり、親にとっても子にとっても、家族が身近にいてくれた方が安心という感覚も理由としてあるだろう。

高齢化社会を迎えた日本では、クリニックや病院など医療機関の果たす役割の大きさが際立っているといえる。加齢に伴い、病気や体調不良に見舞われることは誰しも避けられない。そんな中、特に人材が求められているのが看護師だ。特に過疎化が進む地方では働き手がおらず、深刻な状況が続いている。

そういった背景から、国や自治体が積極的に地元就職を推奨しており、地方就職に興味を持つ人は少しずつ増えているように思われる。医療従事者の不足の問題は、極めて由々しきレベルにまで達していると言わざるを得ない。一刻の猶予もないといっても過言ではないだろう。

人材不足に頭を抱える医療機関は、ハローワークや無料求人雑誌、求人サイトなどで必死になって採用活動を進めているが、多くの機関が思うように人材を確保できていない現実がある。

一方、どうしても人手が欲しい医療機関では、地元での採用活動と並行して、遠方からの採用も積極的に受け入れている。東京や名古屋、大阪など人が集まる場所に出向き、就職説明会や就職セミナーを行って活路を見いだそうしているクリニックや病院も散見される。

さらに、フルタイム勤務の女性を確保することが難しいと考えた医療機関では、パートや派遣などという形での採用活動に乗り出すケースも見られる。こうした現状を看護師目線から見ると、職探しをする上でかなり優位に立てるといえるだろう。特に、人材不足が深刻な医療機関は、積極的に子育てをサポートしてくれる傾向にあるため、出産後も無理なく働けるはずだ。